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会も、佳境を過ぎ、雰囲気的にそろそろお開きとなった頃。
「徹ちゃん、二次会あるみたいだけど、どうする?」
結局集団に混じったのはちょっとの間で、ほとんどの時間を壁ぎわで過ごしていた徹のもとへ、幸信がやってきた。
「二次会か……」
「カラオケみたいだよ。男子女子一緒みたい。ただ参加人数は、半分いくかいかないか」
「とりあえず……」
“行こうかな”と続けようとしたところで、
「よっ」
思わぬ人物の登場により、最後まで言えず仕舞いとなってしまった。
「久しぶりだな」
池上和哉だった。
「池ちゃんて、今何やってんの?」
「フツーのサラリーマンだよ」
「ふーん」
幸信の問いかけに、和哉はサラリと答える。
「どこ」
「“Rose Air”」
「ローズ・エア??」
「……女性向けブランドだよ。化粧品から洋服、日用雑貨に至るまでトータルに扱っている。二十代から三十代に絶大な人気を誇っている、トップブランドだよ」
「へー、さっすが流通雑誌編集者だけあってよく知ってるね、徹ちゃん」
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