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「バーカ。一流ブランドの社員が“フツーのサラリーマン”なわけあるか。ここの会社の平均年収は、お前のとこの三倍はあるぞ」 「げっ」  幸信の顔色が、たちまち青くなった。 「まず男女とも容姿端麗であること。学歴は問わないが、現場力や応用力をかなり求められる、相当な個人能力が高くないと入ることの出来ない会社だよ」 「池ちゃんて、凄いんだね……」 「そうでもないよ」  次元の違いを理解したのだろう。先程とは明らかに異なる、うっとりとした眼差しを向けてくる幸信を、さりげない台詞で受け流すと、 「随分俺のこと褒めてくれるんだな」  和哉の目線が徹に定まった。 「別に、事実を言ったまでだよ……」  自分を見つめてくる、その瞳を直視することが出来なくて、徹はふいと横を向く。 「桜井」 「……」 「お前、ひょっとして体調悪いんじゃないのか?」 「え……」  瞬間、徹の額に和哉の手がのった。 「やっぱり」 「……??あ、あの――」
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