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俺がこの仕事を選んだもうひとつの理由。
それは、舞台で映える役者の姿を、絶好の位置で好きなだけ描くことができるからだ。
小さい頃から絵を描くのが好きだった。
何かを描くたびに大人たちから“上手い、上手い”と持ち上げられて、単純な小僧が浮かれ上がるのは容易に想像がつくだろ?
褒められるのが嬉しくて、夢中になって絵を描いていた。
それは役者になってからも変わらず、ってところかな。
あの日も、俺はいつものように舞台袖から役者を描いていた。
そして、どれ位経った頃だったか、
「ほぅ……なかなかいい絵を描くね」
と背後から声が聞こえた。
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