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そんな奴の絵を「また見たい」なんて、この旦那はよっぽど暇なのか?
……あぁ、社交辞令だな。
どうせ今限りの話に決まってるさ。
「お好きにしなせぇ」
投げやりな俺の返答に、なぜか旦那はにっこり笑って大きく頷き、そのままその場を離れていった。
しばらくその後ろ姿を眺めていた俺だったが、面白ぇ旦那もいたもんだ……と思いながらも、またすぐに絵の続きを描き始めた。
すると、お囃子仲間の三治(サンジ)が、慌てたように俺のところに走り寄ってきた。
「おい、十郎兵衛。おめぇ、蔦屋重三郎(ツタヤ ジュウザブロウ)と知り合いなのかよ!?」
最初は何を言っているのか分からなかった……が。
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