始まりの月

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「大変‥‥そうだね」 「まぁ、みんな同じような気持ちだと思うけどね。 受験生なんて」 きっと受験生じゃなくてもそうだろう。 誰にだって不安や悩みはあるだろうから。 「君は‥‥どうしてこんなところに?」 ビルの屋上なんて、そのビルの関係者じゃない限りそうそう入るようなものでもないだろう。 最初、少し悲しそうな表情をしたので聞いちゃまずかったかなと悔やんでいると、微笑みに変わって彼女は言った。 「前にね、一度来たことがあって。 でも一人じゃなかなか勇気なくて来れなかったんだけど、どうしてもここから空が見たくなって‥‥」 それ以上は聞けなかった。 何だか、彼女を苦しめるような気がした。 「勝手なんだけど、月はあたしの味方だと思ってるの」 彼女は僕の戸惑いに関わらず続けて話し出した。
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