始まりの月

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「ヒカル?」 僕の様子が少しおかしくなったのを気付いたみたいで、ルナが僕の顔を覗き込む。 「うん?」 一生懸命平静を装ってルナの方に向き直る。 「ううん、何でもない。 ‥‥そろそろ‥‥行かなきゃ」 ルナは華奢な腕に付けてある時計を見て言った。 僕は何て返したらいいのか分からなかったけど、もうこの空間がなくなってしまうということに寂しさを感じていた。 「勉強、頑張り過ぎないように頑張ってね。 って、日本語変かな」 照れたように笑うルナ。 「ありがとう。 ‥‥ッ気をつけて」 出た言葉はそれぐらい。 他には何も思い付かなかった。 ルナは返事の代わりの笑顔を僕に向けた。 「またね」 ルナは暗闇に溶けて行くようにいなくなった。
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