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空高く、雲が穏やかに流れるすがすがしい春。
まだ新品の匂いのする制服を着た新入生たちが、満開の桜に縁取られた道を、浮足だった様子で歩いて行く。
この星和学園の新入生、中宮千瀬は、その彼氏と一緒に歩いている。
「ねぇミュー。今日昼までだからさ、どっか行こうよ。」
「………コクン」
彼の名前は蓮池美雨。無口で趣味は昼寝と散歩、中学の時は、陸上部に所属していて
昼休みは、いつも中庭の木陰で寝ていた。
「ミューはさぁ。どっか行きたい所ないの?」
彼は小さな声で
「ちぃが行きたい所でいい…」
と、下を向いて言うのだ。
他人から見れば気の弱い男の子に話し掛けてる女子にしか思わないのだが、正真正銘この二人は付き合っている。
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