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心臓。
そう言って、頬を殴りつけた。
思いっきり強く。
「……幸せになんないと許さないから。」
思わず顔を伏せた。
涙の消えない、今にも泣きそうなこの顔を見られたくなかったから。
「―――ありがとう、な。」
その言葉が聞けたから十分。
「じゃあねッ……本命んとこ行くんでしょ!?」
早く行ってよ…
―――お願いだからッ!!
「……ああ。」
行かないで…
「――オレが言うのも変だけど、幸せになれよ。………じゃあな?」
「……うん。ありがとう…」
気持ちが矛盾する
走り去る、後ろ姿
……言えてよかった。
そう思ったら
さっきまで重かった心が、急に軽くなって。
今度は、僕だけを見てくれる人を見つけよう。
大丈夫
がんばれる
キスの貰えなかった唇は…
きっと、
その人のものだから。
End
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