部屋へ

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「な…何?」 ドキドキしながら答えると彼は 「砂糖、2本入れてますよ…。本気ですか?」 よく見たらスティックシュガーを2本開けてそれを全てコーヒーにいれてしまっていた。 「係長、けっこう抜けてますね、なんか意外かも」 「きっと疲れてるのよ、優秀な部下が多過ぎて」 彼は『甘すぎて飲めないでしょ』と自分のカップのコーヒーを飲みほし、私の甘すぎなコーヒーを半分移した。 そしてまた新しいコーヒーを注ぎ、 「これで大丈夫ですね」 と微笑んだ。 「その笑顔は武器ね」 そう言うと彼は少し頬を赤くして俯いた。 「係長、そんな言い方ズルいですよ…」 俯いたまま小さく呟いた彼はとても可愛く見えた。 そして私はつい、彼に魅入ってしまっていた。 顔を上げた彼はまだ頬の赤を引きずっていた。 「係長…僕…」 この空気は…この空気は危険だ…そう判断したが
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