3780人が本棚に入れています
本棚に追加
『今夜8時、いつもの店で』
メールが来たのは昼休憩の終わりと同時だった。
了解 とメールを返信し、仕事にもどる。
今日も新入社員の指導と部下の営業のロープレ。毎日忙しいが、部下にも恵まれ、仕事は充実している。
そして今日の夜の事を考えると仕事がとてもはかどる気がする。
メールの相手はレイカ。
職業…愛人。
相手は一度も見たことが無いが、聞く度に『あなたも知ってるおじ様かもよ』と笑いながら話す。
ただ、うちの父で無い事は確実だろう。
なぜならレイカにはこだわりがあったからだ。
収入、年齢、家族構成、色々考慮した上でのお付き合いをしているそうだ。
仕事はいつも通り早く終わった。定時には着替えを済ませ、すぐに会社を後にした。
2年前に購入した愛車は今日も調子が良く
軽自動車には似合わない燃費と、
軽自動車らしい加速でギアチェンジを楽しむ。
家に真っ直ぐ帰り、洗濯物をたたみ、部屋の片付けをすると、もう家を出る時間だった。
愛車に乗り込み、国道を走る。
まだ冬の寒さを残した車内と外の空気のほのかに暖かい匂い。
私はこの季節が好きだ。
15分ほど走ると、例の『いつもの店』に着いた。
店に入るなり、奥のテーブルにレイカを見つけた。
「お疲れ様。先に飲んじゃったけどよかったかしら?」
レイカは今日も色っぽい。女の私が見ても、惚れ惚れする。
最初のコメントを投稿しよう!