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約束の時間にはレイカは既に一人で飲み始めていて、私もビールを注文する。
ジョッキではなく、グラスにちょうど7:3で注がれているこの店のビールが大好きで、芸術的だとも思う。
グラスを当てずの乾杯。レイカに教わった事だ。
『居酒屋じゃないんだから。』
『バーでは高級なグラスを使っているの、だからカクテルも、綺麗なのよ、味以外も楽しみなさい。』と。
「今日も三人で行くわよ」
レイカが言ったと同時にドアが開く音がした。
「またフラれたみたい。あの子。」
アイラインでしっかりと囲まれた大きな目は、充血しきっていた。
「アイルまたフラれたよー!!」
さっきまで静かだった店に、アイルの声が響く。
155センチの身長を隠すように高いヒールをはき、ピンクのレースが印象的なワンピースにフワフワのパーマをかけた茶色い髪。
可愛い と言う言葉がいかにも似合う20歳の女の子だ。
そして、アイルとももちろん、この店で知りあった。
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