one third

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「その通りだよ。それだけの理不尽を押し付けているのに、潔く降参するどころか徹底的に反撃をしてくるなんて各国のお偉いさん方は頭が堅いね。僕だったら土下座してでも仲間に入れてもらうのにねぇ。是非ともお願いします、お願いします、ってね」  秋山は笑いながらバルツに向かって何度か頭を下げる。一応、社長という肩書がある人間がそんなに軽々しく頭を下げるのはどうなのだろうかとバルツは口に出しかけたが、話が脱線してしまうので此処は飲み込むことにした。 「・・・やはり前回は被害をなるべく抑えて戦闘したのが甘く見られている原因なのでは? 住宅地や民間人への攻撃はせずにあくまでも我々に反撃してくる各国の軍隊とだけ戦闘を行いましたが・・・」 「うーん、僕は別に人殺しをしたい訳じゃないんだよなぁ。僕たちが造りあげたメタルドールという素晴らしい兵器をそちらの国にもあげるよ、ただしこれからはセントラルの指揮下に入ってねってだけなんだよ。地球全体が、ラウンドアイランドを中心とした一つの大きな国になりましょうよって。言わば未来のラウンドアイランドの一部だから、各国への被害はなるべく最小限にしておきたいんだけれども。いやー、世界征服は簡単にはいかないもんだね」  世界征服。子供が言うようなセリフを恥ずかしげもなくで言えるのが秋山の怖い所だとバルツは思う。他人が冗談だと思う様な事を平気で言い、そして実行するのだ。 「とはいえ、バルツ君が言うように優しくしてあげた結果が今の状況に繋がっているのも事実。だからこそ、今回はちょっとお灸をすえようか。」 「お灸をすえる・・・?」  意味が良く解らない言葉にバルツは首を傾げる。それを見て秋山はハッとする。 「あ~申し訳無い、ちょっと古い言葉を使ってしまった。要は懲らしめるって事さ。僕らが行くってなれば流石にどんな国も避難勧告ぐらいはするだろうし、民間人は住宅地には残ってない筈だから少しぐらい燃やしたりするぐらい大丈夫じゃないかな? 住む場所を失った国民が沢山生まれたら、お偉いさん達も黙っていられないでしょ」 「確かにメタルドールであれば家屋に火を放ったり、破壊等は簡単に出来ますが・・・その後は一体?」 「降参してくれれば彼らの住む場所をすぐにご用意しますよって言うんだよ。人が住めるぐらいの家なら、セントラルの技術とメタルドールを使えば1日で建てられるからね」  自分たちの住む家を破壊したロボット達に建てられた家に住む、という状況になった人間の気持ちを考えるとバルツは複雑な心境になった。
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