650人が本棚に入れています
本棚に追加
《序章》
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
深淵なる夜の静寂は、何に魅せられたのであろう、突然として終止符を打った。
光を失った空を突如として赤い稲妻が襲う。
大地に根を下ろす木々の枝葉は異様なざわつきを示していた。
「――様!
門が…門の扉が開きます!!」
「…来たか。
それが我らの希望となるか、はたまた絶望となるのか…」
闇夜に佇む男が1人、青年の話に耳を傾けていた。
「終焉の時が迫ってきている。
直に繋がるであろう…
彼らの世界と…」
男は遥か高くに広がる暗黒の空を見上げる。
月すら出ていない夜の空は、何か人外のものによって支配されているようにさえ思えてくる。
「案ずるな、――よ
全ては巡り合わせ…
我らには"時を待つ"ことしかできはしないのだから…」
それだけを口にし、男は青年に背を向け、再び空に視線を移した。
まるで、広大な漆黒の空に何かを求めるように…
最初のコメントを投稿しよう!