第零章:始まりの光

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     《序章》  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  深淵なる夜の静寂は、何に魅せられたのであろう、突然として終止符を打った。 光を失った空を突如として赤い稲妻が襲う。 大地に根を下ろす木々の枝葉は異様なざわつきを示していた。 「――様! 門が…門の扉が開きます!!」 「…来たか。 それが我らの希望となるか、はたまた絶望となるのか…」 闇夜に佇む男が1人、青年の話に耳を傾けていた。 「終焉の時が迫ってきている。 直に繋がるであろう… 彼らの世界と…」 男は遥か高くに広がる暗黒の空を見上げる。 月すら出ていない夜の空は、何か人外のものによって支配されているようにさえ思えてくる。 「案ずるな、――よ 全ては巡り合わせ… 我らには"時を待つ"ことしかできはしないのだから…」 それだけを口にし、男は青年に背を向け、再び空に視線を移した。 まるで、広大な漆黒の空に何かを求めるように…
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