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西暦20XX年
日本はいつものように、平和な朝を迎えていた。
小鳥がさえずり、新聞配達の少年が自転車を走らせていた。
ごく普通の2階建て一軒家。
そこに妻と、中学2年生になる一人息子と暮らす、小規模な出版社に勤める42歳のサラリーマン。
そう、彼がこの物語の主人公である、金田 常雄だ。
厄年だ。
さて、彼がいつものように6時40分のアラームで起き出すと、妻の幸代40歳と廊下で出くわした。
戦いの始まりだ。
「あんた、さっさと仕度して会社に行きなさいよ!!!」
幸代の罵声攻撃。
50ポイントのダメージ。
ちなみに、常雄の体力は55ポイントしかない。
瀕死だ。
常雄は逃げ出した。
急いで、着替えを済ませて食卓へ走る。
用意してある、ご飯と目玉焼きと味噌汁をがつがつと食べた。
体力が40ポイント回復した。
「行ってきます。」
【幸代の奴隷】という階級の常雄は、今日もこうして必要以上に早い時間に出勤することになった。
常雄が勤める『しあわせ出版』に出向くには、まだあまりに早い。
しかし、嫌みな名前だ。
彼は近くの『飛鳥公園』に行き、ベンチに座った。
(はぁ…。ここで時間でも潰すか。)
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