春の夜

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まだ肌寒い、少し風の吹いたある日の夜、私は友達との予定があり独り公園のベンチにいた。 予定と言っても、その友達も用事があった為、はっきりとした時間は定かではなかった。 明日は学校が休みという事もあり、バイトが終わり、直接家に帰る事もあまり気が進まず、なんとなく公園で友達の連絡を待つ事にした。 暗い公園の中でベンチだけが少し明るく街灯に照らされていた。 とりあえず私はベンチに座りタバコに火を付け、ほっと一息付きながら、ホットコーヒー片手に味気のない一日を振り返っていた。 一本のタバコを吸い終わってはまた新しいタバコに火を付けてを繰り返していると、ふとカバンの中に時間があれば読もうと思っていた小説が入っている事に気が付いた。 目の前の景色には私の乗ってきたバイク、その奥には線路、その奥には波をかだとった様に曲線を描いた山の一部が広がっている。 そんな景色を正面に構えながら、とりあえず私はその本を読む事にした。 本の内容自体はパン屋の話し、特に私自身がパンに興味もなく、カバンの中に入っている事さえ忘れかけていた様な本だ。
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