朝陽-1

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お腹を抱えて笑う田村。 「まぁちょっと聞いてみるね」 笑うのを急に抑え、田村はそんなことを言いだした。 「お~い、福ちゃ~ん」 田村が呼びかけると、福圓はこちらに目を向けた。 「お弁当は?」 田村がそう尋ねると、福圓はふるふると首を左右に振った。 「買ってこないの?」 弁当がないなら購買で買えばいいだけだ。 と、福圓は胸ポケットからメモ帳らしきものを取り出し、それに何かを書きはじめた。 俺の位置からは見えなかったが、福圓は何かを書いたメモ帳を田村に見せる。 「ふ~ん」 田村はしばらく考え込んだあと、 「私たちの分けるけど、一緒に食べる?」 福圓はこくりと頷き、本を机の中に閉まって、机を移動させてくる。 (えっ) ドキリとしてしまった。 福圓は俺と田村の横に机をくっつけてきたのだ。 「そういやさ」 と今まで黙っていた小野が唐突に、 「白石と福圓って双子?」 などとわけのわからんことを聞いてきた。 「ちげぇよ。てか俺、福圓と会ったのは今日が初めてだっての」 言い、そういや今は犬のぬいぐるみを渡すチャンスなんじゃ?と思い、鞄から犬のぬいぐるみを取り出す。 「ほら福圓、忘れ物」 すると福圓はガバっと奪いとり、犬のぬいぐるみを抱きしめた。 (よっぽど大切なものだったのか……) それならもっと早く渡しているべきだった。
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