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カグヤはメモ帳を取り出し、そこに『桃城学園の近くまで』と書いてドライバーに見せた。
「はいよ」
タクシーが走りだす。
「嬢ちゃん、しゃべれないのかい?」
ミラーをチラっと見ながらドライバーは聞いてきた。
こくりとカグヤは頷く。
「そうか。大変だね」
それきり話しかけてこなかったので、カグヤは窓の外を眺めながら目的地につくのを待った。
お金を払い、タクシーを降りる。
(お昼のお金なくなっちゃった)
思い、学校に入っていく。
「やっほ~福ちゃ~ん」
同じ中学だった田村さんが挨拶をしてきたので、こくりと頷いて挨拶をし返す。
クラスは一組だった。
席は真ん中の1番後ろ、出席番号順だ。
座り、本を読む。
「…………」
しばらく読んでいると、担任の先生が入ってきた。
「よし、じゃあこれから入学式だから、廊下に出て並べ~」
中学校じゃあるまいし、わざわざ並ばなくてもいいのでは?と思ったけど、やはり並ぶらしい。
入学式が終わり、自己紹介の時間になった。
「…………」
だけど特に興味もないので、黙々と本を読む。
と、聞いたことがあるような声が聞こえてきたので、顔を上げて教壇のほうを見ると、左眼に眼帯をした黄土色の髪の美少年がいた。
「…………」
でも知らない顔なのですぐに読書を再開する。
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