夜月-1

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      4時限目の始まり、カグヤは犬のぬいぐるみがなくなっていることに気付いた。 けれどすぐ先生が来たため、諦めて今、つまり昼休みになって鞄の中を探る。 (どこ!どこ!) 探してもなかった。公園に寄ったときはあった。ということは、公園に忘れてきたかタクシーの中、もしくは入学式のときに誰かが盗んだか……。 (ううん。私にとっては宝物でも、他の人にとってはただのぬいぐるみのはず) 諦めて鞄を下ろし、本を読む。お弁当は持ってきていないし、購買で買ってきたくてもお金はタクシー代で消えた。 「…………」 黙々と本を読んでいると、隣の席になった田村さんが話しかけてきた。 カグヤはメモ帳を取り出してそこに『お金ないの』と書いて見せた。 果たしてどのように出るかと待っていると、自分たちのを分けるから一緒に食べる?と聞いてきた。 カグヤは頷き、机を田村さんと、左眼に眼帯をした男の子――名札には『白石』と書いてあった――の隣にくっつけた。 「…………」 白石くんと私は双子か~?なんて質問をしてきた。 (そんなわけないじゃない) 確かに容姿は似ていた。顔、髪の色。だがそれだけだ。 と、話しの途中で白石くんは自分の鞄を漁(あさ)り、そこから犬のぬいぐるみを取り出した。 「!」
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