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あまりにもしつこいので、朝陽は諦めて福圓の家に入ることにした。
「あら」
連れてこられたのは、福圓の母親であろう人がベッドで横になっている部屋。
「お帰りなさい、カグヤちゃん。あら、そちらは……」
福圓の母親は朝陽のことをじ~っと見る。
「お友達?」
福圓がこくりと頷く。
「は、初めまして。し、白石朝陽といいます!」
礼をし、だがすぐに顔を上げる。
「白石……朝陽……?」
福圓の母親は考えるような仕草を見せたが、朝陽にとっては慣れっこである。
「か、変わった名前ですよね。朝陽のように輝く男になれ!って意味なんですよ」
そう言うと、福圓が母親に寄り添った。
母親は考えるのをやめ、
「そう……。カグヤちゃんはね、夜空に輝く月のように綺麗に育ちますようにって意味でつけたのよ」
そういえば福圓の下の名前はそんな漢字だったか。
「カグヤちゃん、ママ、少し朝陽くんと話したいことあるんだけど、いいかしら?」
福圓は不思議そうな顔をしたあと、こくりと頷き部屋から出て行った。
「あの、話したいことって?」
「あなた、その髪と左眼はどうしたの?」
唐突に、福圓の母親はそんなことを聞いてきた。
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