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頷いて外に出る。
――妹がいるって言ってなかった?
廊下を歩きながら違和感を覚えた理由を考える。
「そういえば……」
福圓の母親をどこかで見たことがあるような……?
(どこだ?どこで見た?思い出せ、思い出せ!)
記憶を辿(たど)る。
「あ――」
そう、小さい頃に遊んでいたあの、今朝福圓と出会った公園。あそこで福圓の母親を見たことがある。
朝陽は階段を下り、2階へ下りて廊下を進む。
(じゃあ……ガキの頃一緒に遊んでいたのは、福圓?)
確かに、しゃべれない女の子と遊んでいた記憶がある……ような気がする。
やがて福圓の部屋の前につき、ドアノブを回して中に入る。
「あ――」
「…………」
下着姿の福圓と目が合った。
福圓は頬を染めて何も言えずにいる。いや、何も言えないのは当たり前だが。
「はっ、ご、ごごめん!」
慌ててドアを閉め、外に出る。
「な、何やってんだ、俺……」
胸が高鳴っている。興奮しているのか、緊張しているのかはわからない。
(それにしても)
下着姿の福圓はいつにも増して魅力的だった。
「はぁ、福圓がしゃべれれば俺、打ち首かも」
なんて恐ろしいことを考えると、ドアが開いて私服姿の福圓が顔を出した。
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