朝陽-2

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「あ、えっと……」 ――妹がいるって言ってなかった? ――あなたは私たちの本当の息子じゃないのよ。 (こんなときに) なぜそんな言葉を思い出しているのか、自分は。 「なぁ福圓」 頭の中からその言葉と先ほど見た福圓の姿を追い出して、朝陽は福圓に尋ねた。 「?」 「福圓って、一人っ子?」 福圓は不思議がりながらもこくりと頷いた。 「あ、はは。そうだよな……。ごめん、変なこと聞いて」 一瞬、思ってしまった。 福圓が妹ならいい、と。 「…………」 朝陽は福圓の目を見つめる。 「…………」 福圓も頬を染めながら、朝陽の目を見つめる。 (やっぱり可愛い……) そして朝陽は福圓を抱きしめた。 「!?」 さらに、福圓の唇を奪おうとして―― 「い゛や゛!!」 「え――?」 福圓に突き飛ばされた。 「福圓……?お前、しゃべれるのか?」 ガラガラ声ではあったが、確かに今、福圓は声を発した。 「あ゛……」 「福――」 福圓は泣きながら朝陽から逃げて行った。 「……なにしてんだろ、俺」 とりあえずもう帰ろう。もちろん福圓に謝ってから。 福圓の母親の部屋に戻ってみる。 「あら、どうしたの?」 「あ、あの……福圓、じゃなくてカグヤさん来ませんでした?」
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