朝陽-2

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  「ただいま……」 家に帰ると、母親が居間にあるテーブルの前で正座していた。 「遅かったわね」 普段と変わらぬ口調。 「知り合いを家まで送ってた」 「そう。早く座りなさい」 「……福圓夜月って娘(こ)」 すると母親は目を見開いた。 「やっぱり福圓は俺と関係してるんだろ?」 「……早く、座りなさい」 仕方ないので母親の向かいに座り、改めて尋ねた。 「福圓は俺とどういう関係だ?」 「福圓はあなたの本当の家族よ」 本当の家族……あの、福圓が。 「夜月ちゃんはあなたの実の妹。……口、きけなかったでしょ」 ああ、と頷く。 福圓の母親が言っていたので何となく予想はついていたが、やっぱり福圓は俺の妹だったのか。 「俺も福圓――」 実の妹のことを福圓、なんて呼ぶのはおかしいと思い、朝陽は呼び方を変えた。 「俺と夜月は、どうして生れつき目が見えなかったり、口がきけなかったりするんだ」 「それは……あなたの本当の父親が、あなたがたがまだお腹の中にいる頃――」 母親に暴力を振るっていた……? 「その……父親は……?」 「さあ……。別れたはずだけど、それしか……」 母親は申し訳なさそうに俯く。 どうして人は、こういう時に俯くのだろうか。 夜月の――朝陽の本当の母親も、このことを尋ねたら俯いていた。
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