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女の子なのにだらしないと思いつつ、注意するためにその娘に近づく。
「あの」
声をかけたが、少女は見向きもしない。
仕方ないので、とりあえず言いたいことだけを言う。
「あの、パ、じゃねぇや……。下着、丸見えだけど」
だが少女は朝陽を見ることも、足を下げることもせずに本を読んだままだった。
(……てかこの娘マジでかわいいじゃねぇか)
パンツなんか見せてたらそこらをうろついてる変な輩(やから)に襲われかねないぐらい、目の前にいる少女は可愛かった。
洋風美少女とでもいうのだろうか。無表情だが顔は整っているし、髪は黄土色だが綺麗に輝いている。
「もしもし?」
再度声をかけるが、やはり見向きもしない。
「はぁ……」
ため息をつき、ブランコへと戻る。
「…………」
しばらく少女を見つめていると、少女は立ち上がって公園から立ち去っていった。
「ん?」
携帯電話を取り出し時刻を――
「げっ」
走らないとマズイ。駅に急がなければ。
と走り出したとき、あるものが目にはいった。
「なんだ?」
そのあるものとは、ベンチの上に置いてある犬のぬいぐるみだった。さっきの少女の忘れ物だろうか。
「ん、なんかチャックがある」
開けてみると、飴玉がいくつか入っていた。
「まぁ、預かっておくか」
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