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そのまましばらくその公園少女――と名付けた――を見つめていたが、公園少女は他の奴の自己紹介も聞かず、ずっと本を読んでいた。
「白石」
もしかすると耳が聞こえないのかもしれない。
まぁともかく公園少女は……などと考えていると、朝陽と公園少女の間に座っている女子が自分を見つめていることに気付く。
「ん?」
否、公園少女を除くクラス全員が俺を見ていた。
そして担任教師が朝陽の前に立っていた。
「白石、なんだ。田村が気になるのか」
田村?公園少女のことか?
「まあいい。お前の番だ」
「は?」
ポカンと口を開けて頭の上にはてなマーク。
「はぁ」
担任はため息をついたあと、
「自己紹介。ほら、前に行って簡単に挨拶しろ」
「……あぁ自己紹介。はいはい、そうでした」
クラスに軽く笑いが起きる。
構わず教壇に立ち、クラスメートたちを見渡す。
やはりあの公園少女以上の美少女はいない。
「姫野中から来た白石朝陽でぃっす。趣味は~……」
言いかけ、公園少女のほうを見ると偶然にも一瞬目があった。
だが公園少女はすぐに視線を下ろし、読書を再開する。
「音楽鑑賞かな。あ~あとこの左眼は生れつきなんで、気にしないで。あ、あと髪も染めてるわけじゃないから。まぁよろしく」
軽く挨拶をし、クラスメートが拍手をして俺は席に戻る。
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