朝陽-1

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「なんでクラスの奴に目ぇつけられんだよ」 小野が笑いながら言う。 「古文のセンコウだぜ。ほら、式のとき言ってたろ。古文の担当の泉堂ですって」 「いや~、カットされてるからわからないや」 はっはっ、と頭をさすりながらそう言ってやった。 「なにカットって~。あ、もしかして白石くん、将来は芸人になりたいとか!」 周防が興味ありげに聞いてくる。 「まっさか」 チラっと福圓のほうを見る。 黙々と読書をしていた。 「ところで、さ。福圓、誘っていいかな」 多少の勇気は必要だったが、ドキドキしながらそう聞いてみた。 (あれ?なんでドキドキしてんだ。俺) 「福ちゃん?いいよ~。ってあれ?なんかもう食べ終わったみたいだよ?」 まだ5分しか経過していないのにか? 「まさか」 「もしかして弁当忘れてきたんじゃね?」 「そしたら購買で買ってくるっしょ」 「カネないとか?」 「でも福ちゃん家はお金持ちのはずなんだけどね~」 黙って小野と田村の話しを聞いていたが、どうも田村は福圓のことを知っているらしい。 「あれ、田村。もしかして福圓と同じ中学?」 田村はそうだよ?と頷いた。 「なに白石くん。福ちゃんのこと気になるの?」 「バッ……!」 思わず赤面する。 「ははっ、顔真っ赤だよ~。わかりやす~」
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