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学校からの帰り道。
昭はバイクで真っ暗なデコボコの上り坂を走って行く。
大変な事に、土日分の食品を買うのに時間がかかってしまい既に時間は夜中の9時。
空には満天の星空。
家に着いて制服のままで畑に向かう。
風が強い。
トマトの苗を固定しなくては風で倒れて駄目になってしまう。
添え木に紐で苗をくくる。
ザァァァァ…
「うわっ!」
突風が吹いた。
身体を屈めて風が通りすぎるのを待った。
ふと見上げた空には雲一つなくて沢山の星が瞬いている。
その中に強い光。
「流れ星?…にしてはやけに…デカイ…って言うかこっちに来る!!」
昭は慌てて逃げようとしたが、土で足を滑らせて尻餅をついた。
ゴォォォ…
確実にこっちに来る。
ヤバい…ヤバい…どうしよう…身体が動かないよ!
轟音と共に昭は吹き飛ばされた。
土誇りと煙で何も見えない。
徐々にそれは薄れていき、目を凝らした。
シュウシュウと音を立てた何かが、畑に大きな窪みを作り、地面にめり込んでいた。
「あ…あわわわ…畑が…私の苦労が…」
隕石?…にしては真っ白だなぁ…。
ソロリソロリと近付くと、真っ白な細長い球体だと判る。
「何…これ…」
もしや未確認飛行物体…UFO!?
小さな円形の窓がカパンと開いた。
中から2つの箱が飛び出して、昭は腰を抜かした。
キュィィン…キッキッ…キィィーン…
変な頭に響く高い音を発してクルクルと空を舞っている。
ヤバい…私…宇宙人に拐われる!!
開いた窓から手が出た。
「ヒィィィ!」
昭はもう駄目だと半泣き状態だ。
目をギュッとつむった。
「*⊂ゐф※чл」
ぎゃぁぁぁ!何か言ってるぅぅぅ!!
「ヤメテェェ私を拐わないでぇぇ!アブダクションとか嫌だぁぁぁ!!」
「∥пヱ★∠ψёЙ…言葉の変換を終了する。確認を」
甘いテノール声。
キュルルル…キュキュ…キィィーン…
「ああそう。地球…こんな所に来たのか」
昭は少しづつ目を開けてビックリしてしまった。
…この人…宇宙人?
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