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全身真っ白な服。
陶器の様に真っ白で滑らかな肌。
真っ白な肩より少し長い切り揃った髪。
整った顔立ちは芸術品の様に狂いがない。
高い身長、スラリとした身体に長い足。
「あわわわわ…な…何これ…地球人なの?宇宙人なの?」
昭は震える声で呟く。
男性はそれに気付いて無表情のまま答えた。
「貴方達にすれば宇宙人だ。だが勘違いして欲しくない。地球人を作ったのは私の星だからだ。我々の細胞、形…地球は我々の管轄していた星。同じ姿をしているのは当たり前だ」
…な…何て?
じゃあ…人間を作ったのがこの宇宙人達だって言うの?
しかも偉そうにしやがって…私が丹精込めて作った野菜達が…。
「アンタねぇ…宇宙人だかなんだか知らないけど…私の畑をこんなにめちゃめちゃにしといて…謝罪の一つもない訳!?」
キュルルル…
箱の物体が白い色から濃い青に変わる。
「仕方ない。元に戻す」
箱は光を放った。
眩しくて目を閉じて次に目にしたのは元通りになった畑だった。
「これで良いのだろう。さて…これからどうしようか。もう星へは帰れない。地球に居たら私の生態も狂ってしまうが仕方ない」
「ちょっと…アンタは元に戻せば良いと思ってんの…?ごめんなさいって謝るのって普通でしょ!?」
昭は怒りに激高して男性の胸ぐらを掴んだ。
男性は無表情のまま、じっと昭を見つめる。
「貴女は…とても研究しがいのある人間だ。探究心から私が犯した罪の実験には適した人間。ならばその身体を差し出しだせ」
…実験!?
インプラント!?
冗談じゃない!
昭は手を離して逃げる様に家に向かって走る。
鍵を掛けてトイレに逃げ込んだ。
恐い…恐い…。
足音がする。
キュキュ…キュルルル…
あの箱の音だ!
助けて…誰か…!
ガチャン…
トイレの鍵ももはや無意味。
昭は恐怖のあまり意識を手放した。
夢…きっと夢だ…そうに決まってる。
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