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昭へ
もうすぐお前の誕生日だね。
欲しい物は無いにしてもお前が一番欲しいのは一人で居る時間でしょう。
お祖母ちゃんは今アイスランドに居ます。
後どれくらいで家に戻れるか分からないけど昭が元気なら良いでしょう。
お金を振り込んでおきました。
旅行でも何でも好きな事をしなさいな。
お祖母ちゃんより
「アイスランドって…前はエジプトだったのに…」
昭は髪をタオルで拭きながらエアメールを読んでいた。
旅行か…良いかも!
「昭、誰からだ」
シフォンは昭をソファーに座らせてドライヤーを持ち出して来た。
「お祖母ちゃんから。私7月16日が誕生日だから誕生日プレゼントにお金を振り込んでおいたって…別に良かったのに…」
昭の髪をシフォンは丁寧に乾かす。
ドライヤーの冷風が気持ち良かった。
「誕生日プレゼント…生まれた日を祝う習慣だな。昭が生まれた日に私も祝おう。プレゼントは何が欲しい」
シフォンからのプレゼント?
うーん…シフォンにしか貰えない物…特別な物…。
「…指輪!指輪が欲しい!指輪頂戴!」
シフォンを見上げた昭が嬉しそうに笑う。
無表情のシフォンが少しだけ眉を動かした。
「分かった。指輪だな。指輪にははめる指によって意味が違うと本で読んだ。何処にはめる」
「シフォンの…好きな指で良いよ」
そう昭が言ってシフォンは悩んでいる様だ。
「じゃあ小指が良いだろう。左手の小指なら邪魔にならない」
「あ…そ…」
ちょっと期待してしまった…。
でもシフォンがくれるならいっか。
髪が乾いてドライヤーをしまいにシフォンは脱衣所に行ってしまった。
その間にすかさずある物を取り出す。
テーブルの上でそそくさと用意した。
戻って来たシフォンから隠す様に立って昭は笑った。
「昭、何をしている」
「今日…7月5日を持ちまして…シフォンがこのお家に来て2ヶ月経ちました」
「そうか。で、それがどうした」
昭は身体をずらした。
テーブルの上にシフォンケーキが丸々一個。
生クリームにチョコソース。
「エヘヘ…作っておいたの。シフォン昼間から何も食べてなかったし…丁度良いかなって」
昭は笑う。
シフォンが大好きなシフォンケーキ。
「昭…」
シフォンは少し笑って昭の唇にそっとキスをした。
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