実験

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「昭!好きだ!」 「暑いのに更にウザイなぁ…ウザイウザイ!」 「こっちは真剣なんだ!」 「ハイハイ…」 毎日続く颯太の告白。 そして更に憂鬱な臨海学校。 海は嫌いなんだよねぇ。 2泊3日の勉強の為の合宿。 昭の成績は学年では上から3番目位をキープしている。 で、この班を構成した担任を恨みたい。 咲とは離れるし、よりによって颯太と一緒なんて更に憂鬱だ。 シフォン…大丈夫かなぁ…私が2泊も居なくて平気かなぁ…。 そんな事ばかり考える。 昼間は勉強、夕方から各班で定番のカレーを作る。 「昭さぁ、超飯作んの上手いんだって!」 自慢気にそう言った颯太の頭にこの煮えたカレーをぶっ掛けたい衝動に駆られる。 女子4人、男子4人の班だ。 しかもこの女子3人はギャルばっかりで、爪や髪を気にして手伝いもしない。 まぁ…一人の方が楽だけど。 一日目はテントを張る。 男子と女子は別々だ。 各班で好きな場所にテントを張った。 「俺テント張った事ないから分かんねぇよ」 男子は3人共はそんな事を言っている。 見兼ねた昭が手伝ってテントを張った。 情けない…男のくせに…。 「キャァァ!蛇っ!ちょっと男子ぃ、早くどっかやってよ~!」 「えぇ!テントの中に蛇って…うわぁ気持ちワル!」 ガシッ! 掴んだのは昭だ。 何事もなく素手で捕まえて颯太の前に差し出す。 「恐いんでしょ?」 「こ…恐くねぇよ…」 「じゃああげる」 颯太の顔が真っ青になった。 情けない…。 昭はウネウネ動く蛇を草むらに放した。 各班で焚火をする。 皆仲良く話す中で昭は蚊帳の外。 シフォンの事ばかり考えていた。 「昭ちんは絶対処女だよねぇ?」 ギャハハ!と笑う女子に昭うっかり答えてしまった。 「郵便屋さえ邪魔しなければ…絶対してた…Bまでいったのに…」 シーン…。 昭は気にせず溜め息を吐いた。 黙り込んで驚く輪の蚊帳は昭に一点集中する。 「セックスって…何だろうね…もう早くどうにかして欲しいのに…シフォン…」 また溜め息を吐いた。 切ない主婦の独り言の様に昭は呟く。 「昭ちん、彼氏いんの?」 「うん…最近キュン死にしそうで頭が馬鹿になっていく…」 颯太は驚いて叫んだ。 「あの…野郎…ムカつく~!」
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