28人が本棚に入れています
本棚に追加
王がそう言えば、トランプ模様の服を着た兵士たちがチェシャ猫と三月ウサギに刃をむけた。
「さぁ猫もウサギも私を楽しませてくれ」
「悪趣味というべきかな?三月ウサギ?」
「ワタシに聞くべきではない」
トランプの兵士たちが二人に襲いかかってくる。
チェシャ猫の持つ銃が火を噴いた。
弾丸ではなく、文字通り火を噴くのである。
「いつものやつはどうした」
「修理のためにネズミに預けてある」
火は竜の形となって兵士を焼いていく。
また三月ウサギの剣が一閃するごとにトランプの体が縦に引き下がれた。
「なかなか減らないな」
「この城にいったい何人の兵士がいると思っている」
チェシャ猫は少し考えるように銃をとめた。
その隙を狙ってトランプたちが切りかかるが、ヒュッという音とともに首がごとんと重い音をたてて落ちた。
「興がそれた。貴様ら後片付けをしておけ」
「王っ!」
「帽子屋ならば、すぐにくる。白うさぎとともにアリスを連れてな」
王はさっさと玉座の後ろにある扉から姿を消してしまった。
三月ウサギは悔しそうに耳をふるわせる。
「三月ウサギ、何も言うことはあるまい?」
チェシャ猫は三月ウサギの肩を叩いた。
三月ウサギは乱暴にその手をはねのけると城から出て行っててしまった。
最初のコメントを投稿しよう!