アリス、迷う

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「あーあ。逃げちゃった」 「ダメだよ、白うさぎ。誘うのが強引だ」 「帽子屋のお前には言われたくないよ」 少女のうしろに姿を見せたのは黒いスーツに身を固め、シルクハットをかぶった女だった。 胸元に赤薔薇が飾られている。 「ワタシに任せろ」 「あれは王のモノ。触れたら怒るよ」 「ふん。好きに言ってろ。手に入れたもの勝ちだ」 それが我らの世界の決まりだろう? 女はそう言って姿を消した。 少女は女の姿が消えたところを見てパラソルをとじた。 「さぁアリス。逃がしてあげないよ」 少女は小さく鼻歌を歌いながら女と同じように姿を消したのであった。
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