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アリスは走っていた。
逃げなければならない。あの変な少女から。
あの、嗅ぎなれた空気から。
「キミが《アリス》か」
そんな声がした。
はっと前をむけば、黒いスーツにシルクハットという時代錯誤な服装の女がたっていた。
「誰だ…」
アリスがそうたずねると、彼女はシルクハットをぬぎ、優雅な礼をした。
「ワタシは帽子屋。キミを迎えにきたものだ」
「お前も?やめろ。おれはお前が探しているやつとは違う」
「はて、なぜそんなことを言う?ワタシたちはキミが呼んだからきたのに」
アリスは自らを帽子屋と呼んだ女を見た。
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