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女の黒い瞳は感情を映していない。
アリスは頭が混乱した。
思い出すのは、友人の言葉と噂。
《望み》をもつものだけが行けるワンダーランド
「違う」
アリスは首を振った。
「そんなこと望んでない」
「キミの望みは、『死んだ妹に会う』こと」
「黙れっ」
アリスは女をにらみつけた。
女はひるんだ様子もなく、アリスをみている。
「なんでおれが」
「それはキミが叶うことがないとわかっている望みをもっているからだ」
「お前らの気のせいじゃ」
女は静かに首をふった。
「望みはなによりも強い。そしてワタシ達のところに届かない望みはない」
とくに ‘死’に関する望みは…
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