猫が…

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その日の朝は 5月晴れ さわやかな春の日 でした。 『いってきま~す』 『いってらっしゃ~い』 母の声がキッチンから聞こえてきました。 私が通う高校までには 小学生の通学路もあり 毎朝歩道は 小学生でいっぱいで、私は狭い車道を 通らないといけないのですが、 狭い車道にも バス通りです。 毎日、危険な 通学コースでした。 その日も 私は車道を自転車で走ってました。 そしたら 突然、 猫が車道を横切り ました。 それに気をとられて… 私はバスの下敷きになりました。 私の卒園した 幼稚園の前でした。 かすかに バスの下の暗い部分から 野次馬の人の足だけ見えました… 私は バスからはい出て 周りのやじ馬と一緒になって 血だらけの自分を見て すべてを悟り 泣き崩れました。 お母さん助けて お母さん助けて どうしよう 私 どうしよう 車道を横切った猫が…私を見てました。 車道を横切った猫だけが… 泣きじゃくってる私に気づいてました。 私は猫に近づき 猫は私を見上げ 猫は 『おまえはオレの身代わりになった』 『私がなぜアンタの身代わりにならなきゃいけないのよ』 私は泣きながら 叫びました。 猫は 『おまえは優しいから…。おまえは小学生が歩道を歩いていれば車道を通る。猫がいたら危ないと必死で思う。神様にその優しい願いが通じただけさ』
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