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全く知らない人に付いて行く事が危険な事と言う事は分かっているが、三治に危害を加えると言われれば、付いて行かざるを得ない。微笑みを崩さず、直緒を見つめるその男性に、黙って付いて行く事にした。
「では、こちらに乗って頂けますか?」
マンションの表に、停まっていた車のドアを開けた。言われるがままに車に乗り込む。
「不安ですか?」
「当たり前じゃないですか…」
「そうですよね。申し訳ありません」
「あの…依頼人って…」
「私からは言えない事になっているんです」
少し困った顔をして、苦笑いをする。
「そう…ですか」
「ですが、すぐに会えると思いますよ!」
そう言うと、静かに車を動かした。
「あの…何処に行くんですか?」
直緒の質問にバックミラー越しにニッコリ微笑むだけで、何も答えない。
「一応、連絡しないと、サンジさんが心配しちゃうので、答えて貰えませんか?」
「…すぐに分かりますよ!」
「でも…」
「先程もお答えしたように、私からは何も言えない事になっているんです。申し訳ありません」
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