昼下がり

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弥生が言う、真戦組とは…… 現在大阪を中心に、十代から二十代前半の集団が作り上げたチーム。 暴走族、ヤンキー、チーマー、ストリートギャングetc……。 はてはチンピラやヤクザまで、派手に世直しという名の元に、次々と一方的に制圧している正義のTEAMらしい。 中学二年になったばかりの僕にとって、まるで喧嘩の話しという物は、特にヒーローのような強い者達の話題こそ、皆の憧れであり尊敬を集める恰好の的だった。 事実僕も真戦組について、噂には聞いた事はあった。 しかしそのどれも僕には、正義とは遠く思えない余りにも酷い噂ばかり。 例えば一般的には、軽い罪と呼ばれる万引きや、シンナー等と言ったそんな軽度の罪の人間さえも容赦なく、世直しという名の元に、一対大多数で襲いかかるのは、真戦組にとっては当たり前の事らしい。 しかも半殺し所か、耳に入って来ないだけで、殺人を犯している者さえ、中にはいるという噂だ。 「恐いな」 僕がそう呟くと、弥生は無邪気な笑顔を浮かべ答えた。 「廉ちゃんなら大丈夫よ。罪を犯すような根性は、廉ちゃんには絶対ないから」 無邪気な弥生の言葉を受け取り、一瞬罰が悪くなったような気がした僕はたまらず、少し歩くスピードを早めた。 「ちょっと待ってよ~」
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