昼下がり

8/10

1156人が本棚に入れています
本棚に追加
/199ページ
少し早歩きなため、ついて来るのがやっとの弥生。 僕は何度も後ろを、振り向きながら歩く。 するとあまりにも後ろに、注意を向けすぎたせいもあり (ドンッ) という衝撃と共に、何者かの身体に当たった僕は、激しくよろけ派手に転んだ。 「痛っ」 膝を強くぶつけた僕は、出血しているだろう膝をさすりながら、小さく声が漏れた。 そんな転んだ僕を見て弥生が、 「大丈夫?」 と言いながら小走りで近寄って来る。 僕は大丈夫だ……。 そんな事よりも僕と衝突した人がいる。 僕と共に転んだ人……。 その人は僕より一歩先に立ち上がり、転んだ時に付着した砂を、一人両手で冷静に払っている。
/199ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1156人が本棚に入れています
本棚に追加