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季節は秋。
まだ残暑が残る九月の上旬だった。
城南工科大学に通う四期生…安西徹は一人研究室に閉じこもり、実験データの整理に追われていた。
もともと真面目で勉強も出来た安西は卒業認定単位もたりており、就職も某大手企業の研究室への内定を決めていた。
残すは卒業研究と論文のみである。
ふと時計を見ると午後四時を廻っていた。
「そろそろアイツら終わるな」
しばらくすると研究室のドアが開き四人の学生が入ってきた。
「お疲れ~」
「うっす!整理ご苦労!あれ和馬はどうした?」
「先生に呼び出されてそっち手伝ってんだよ。結局俺一人でこの膨大なデータを整理してたんだぞ」
「そうひがむな。頭がいいお前と違って俺らは卒業単位が危ういんだよ。あの教授なかなか単位くれないからさ。四年になってもあの講義取る羽目になってんだよな」
「そうよ。あの講義簡単に一発で単位取れるのあんたと和馬くらいよ。」
「はいはい。とにかくヤスとカナは先生の方を、コウとシゲは俺の手伝いな」
「了~解…そう言えば恵子の姿が見えないんだけどどうした?」
「あぁアイツは帰ったよ。就活で忙しいんだってよ」
「逃げたな…」
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