一章

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「今日早く終わりだってよ!いつもの所に七時でいいよな?」 いつも仕切るのは涌井浩一であった。 涌井浩一(25)…この八人の中で一番の年上である。しかし特別敬語を使うとか威張るとかはせず、同じ大学生として同等に皆に接している。明るい性格でこの研究室のムードメーカーでもある。 「了解!」 他の六人が賛同する中、近藤和馬だけ返事を返さなかった。 近藤和馬(22)…人間嫌いらしく、入学当初からあまり人と話してるところは見たことはない。何をしていてもどこか冷めた顔をし、周りととけ込めず、一人でいることが多い。この研究室には原田教授きっての要望で配属された。顔と頭は八人の中でもトップであろう。 「俺はパス」 「またかよ和馬。お前いつもそれじゃん!たまには一緒に飲もうぜ」 「やることあるからな…」 そういうと一人研究室を出て行った。 「なんだろうな?」 「知らねぇよ」 「アイツ自分の事何も話さなねぇし、普段は無口だし、何か近寄りがたいよな…」 「でも女子からは人気があるのよ。無口で何かクールな感じで頭もいいしね。何より顔がかっこいいもの」 「彼女の一人くらいいてもおかしくないわね」 「そうだな。となると今いないのは…」 ジ~っと浩一と茂樹を見る徹。
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