揺らぎ

4/7
前へ
/92ページ
次へ
由利子さんの旦那の名前は健吾というのか…。 彼女の口から旦那の名前が出たのは初めてだ。 しかし、僕のせいで彼女をつらい目にあわせていたとは…。 今日はきっと、もう会わないようにしようという話だろう。 「由利子さん、僕とはもう会わないと言いに来たんですね?」 僕は躊躇せずに聞いた。 彼女の返事が怖いが、これも仕方のない事なのだ。 かなり間を置いて、彼女は答えた。 「いいえ、違います…」 「えっ…?違うんですか?」 彼女の思いがけない返答は嬉しいが、それならいったい何なのか。
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

59人が本棚に入れています
本棚に追加