war.2.5 -蒼國-

2/4
408人が本棚に入れています
本棚に追加
/414ページ
翔が居る江東地区から遥か北に、大規模な地区がある。其処には変わった殿下がおり、人材コレクションの趣味を持つという。 「元譲、コヤツ面白い名ぞ!コレクションには持ってこ「いい加減にしろ」 ガツンッ! その殿下がまた拳骨を入れられた。 この地区の名は中原[チュウゲン]。地球では、当時三国時代の魏という国と同じ場所に位置しており、覇道を貫く殿下・曹孟徳が中心をとっている……筈なのだが。 「アンタは何で覇道を貫くと天に誓った筈なのに、毎回毎回役に立ちそうもない人々をコレクションにするんだ!そいつらが可哀相だと思わねぇのか?!」 見る限り、曹操に叱りつける彼の右腕…夏侯惇が中心に思えてしまうのである。 「仕方ないのぅ…」 あれから夏侯惇に長々と説教を受けた曹操は、ふて腐れて唇を尖らせると、巨大な広間へ戻りコレクションにしようとした人々を解放した。 「(こういう時に限って元譲が儂の傍に居るからのぅ。趣味が台無しになってつまらぬぞ)」 長い廻廊を歩いている曹操は、唇を尖らせふて腐れながら思う。 だが、暫くして曹操の足がピタリと止まった。俯いていて元気が無さそうに見えるが、その口許は吊り上がっている。 「フフ…。 元譲よ、儂は良い事を思い付いたぞ。見ておるがよい」 何かを企んだ曹操は目をギラリと光らせ呟くと、パッと満面な笑顔になり軽やかな足取りで自室へと向かっていった。  
/414ページ

最初のコメントを投稿しよう!