-最終章-

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和人は2人に悟られないようにそっと涙を拭った。 (明日からはまた仕事か…いつもの日常に戻れる…いや、しばらく休暇とろうかな…疲れたよ。その前に警察から事情聴取受けないと…ダルいな) 和人は遥か遠くに見える水平線を見ながらそう思った。 「中野さん」 「どうしたの? 河相くん」 ふいに呼び掛けられた。振り返ると真剣な表情をした河相がいた。 「これで終わったと思いますか?」 「何が?」 「泗水館のことですよ。僕にはあれで全てが終わったなんて信じられません」 「俺だってそう思ってるよ。でもどうしようもない…知りたくても分からないんだから…いや、分かりたくもない」 「……………」 「もういいんだ。もう忘れたいよ…こんな出来事。思い出にもできやしないからね」 「そうですね…僕も同じです。出来るなら今すぐにでも記憶から消し去ってしまいたい…」
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