-最終章-

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「もういいや…」 和人はそう言うと河相の方を向いて笑った。 「もう終わったんだから…あの館で起こったことは無かってことで♪」 「そうですね」 和人の苦笑いを見て河相も笑った。 「無かったことにしておきましょう」 「そう思えたら楽でしょ? だったらそれが一番だよ。」 和人は遠ざかる泗水館を見つめた。 今は昼間だが泗水館のある島だけはなぜか薄暗く見えた。 (まだ『あれ』があの館には住み憑いているんだ…) 和人はそう思うと全身に鳥肌が立つと同時に寒気を感じた。 (河相くんの言う通りまだ解決したわけじゃないけど逃げ延びることは出来た。もう…それでいい…) 船はしぶきを上げて進んでいく。 時間が経つにつれ見えなくなっていく泗水館はまるで何事も無かったかのようにそこに佇んだまま和人の視界から消えていった…
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