-エピローグ-

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(………………) 真っ暗で静かな空間では時計の秒針の音や自分の心臓の鼓動などでも耳の奥に届く。 その音は実に規則的で和人の心を落ち着かせた。 目が暗闇に慣れ真っ暗でも周囲の様子がある程度分かるようになった時、和人は異変を感じた。 部屋の隅… 暗闇よりもさらに濃い色の黒い物体が見える。 それは蠢くように震えて少しずつではあるが和人のもとへ近づいてきているようだった。 (なんだ…あの黒いヤツ…) それは近づいてくる。 這っている。そして何かを引きずるような音が聞こえてきた。 ズ……ズズズ……… (この音は泗水館で聞いたあの音だ…)
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