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気付いたら、森の外にいた。頭を殴られてからの記憶がない。手には見慣れたミストラルブレイド……まさか、抜いたのではないだろうか?
「まさか、な」
軽く笑い飛ばし見慣れた道を進む。柔らかい土が足裏の衝撃を吸収する。
『…マキシミン・リフクネ』
「………」
聞きなれた、闇色の声はミストラルブレイドだ。あまりいい気はしない。
『ドッペルゲンガーの森に迷い込むとかいう失態はもうおかすなよ、迷惑だ。我も面倒だし貴様の魂も擦り減るだろう。』
……やっぱり、抜いていたらしい。マキシミンが溜め息をつきそこらに座り込む。
「何の用だ、暴れたいとかそんなのか?」
『否、単なる質問だ。貴様は何故にそこまで力を欲するのだ?』
意外だった。急に突然、何をこの剣は言い出すのか。
「…決まってる。生き延びるためだけだ。」
『他人を傷付けてもか?』
「ああ、俺が生き長らえ、生き延びるために必要な人間以外をわざわざ殺すような悪趣味は無いけどな」
『そうか…』
そう言うと剣は黙りこんだ。本当に何がしたかったのだろうか。分からない。
「……何がしたかったんだ?あれ。」
マキシミンが立ち上がる。これからイスピンとなる。たまに、抜いている。そしてミストラルブレイドのあの言葉―――。
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