四人

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その時間、深夜と言う状況下により、犬井家に起きている者はいなかった。 それを見計らって、空き巣も入ったのだろう。しかし、空き巣は迂闊だった。 ガシャンと、突如部屋に響く、ガラスが割れた音。 玄関に飾ってあったガラス細工を、深夜の家の暗闇で空き巣が困惑する中、落としてしまったのだ。 寝起きで、音の元に向かう拓磨の父と母。この先には死しかないと言うのに。 後は、半狂乱になった犯人が懐に隠してあったナイフで、二人の体を恐怖の赴くままに刺したのだ。 犯人は二人を刺した後、外に出て近くの電柱に血塗れになって、朝まで寄り掛かっていた。 翌朝、拓磨の祖母が、無残な姿に変わり果てた両親と血塗れの犯人を見つけ、警察に通報し、犯人は捕まった。 これが、拓磨自身には実感がない、辛い過去だ。
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