四人

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「一、二、三……」 カウントを自分の口でしながら、何度も拓磨は体を起こす。 着痩せするとは、正にこの様な肉体の人物を言うのだろう。 およそ、今年のプールの授業で、みんなの目が点になる容姿である。 「三十四、さんじゅ」 三十五回目のカウントをしようとした時、チーンとトーストが焼けたのを知らせる音が鳴った。 「四十回は行きたかったんだけどなあ」 そんな独り言を呟きながら、トースターに向かう拓磨。 上は?着ていないに決まっている。まあ、そこまで目に苦しいわけではないので、よしとしよう。 どちらかと言えば、爽やかなマッチョだ。 「バターと苺ジャムと味噌を塗って……」 食い合わせに問題があるのは、どうしようと言い訳できない事実だ。 簡単に言えば、彼は天然のようだ。こうでも言わなければ、精神病院で治療をしてもらわなければなるまい。
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