雄 勇 憂

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葉雄~しょうゆう~華雄と言われた剛将についてーー 風は吹かない、ただ自らの鼓動の音が内に響くばかり。 虎のような体つき、狼のような腰を持つ精悍な男はただ目をつむり、風の吹かない崖の先にあぐらをかき、腕を組む。 「…………………」 わしは葉雄、今は董卓公にお仕えしている。 間もなく孫堅が率いる軍勢が目先の虎狼関に攻めて来よう。 「‥‥‥‥‥‥‥」 わしは何も思わん、董卓公にはわしを抜擢してくれた事を有り難く思う。が、董卓公については思わん、最近の董卓公は誰からの目からも目に余る。 「・・・・・・・」 最近董卓公に呂布なる者が付いた。 わしは一目見た時感じた…… 奴はわしを遥かに越えている。 わしは身震いがした、まるで獣である。奴の目の前では誰もが獲物になってしまうだろう。 「葉雄将軍、そろそろお戻り下さいまし」 わしはすでに董卓公の目には入っていないだろう…… 「千阿鄭」 「はっ」 「わしは戦場の烈風となり、やがては戦風となりっ」 「葉雄将軍っ…」 「いいや…決めたのだ」 「…………」 「わしは戦風となり、またおぬしとあいまみえよう」 「……葉雄将軍…」 「ふふ…武者震いだ…」 葉雄将軍はそう言うと騎馬し高らかに駆けて行った…… ーーその崖には戦風が吹くようにーー
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