一、基礎知識

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しかも俺の後ろには警官の乗った覆面車が二台もお供している。 ハリウッドスターになった気分だ。 しばらくすると自宅に着いた。 俺は鍵を開けた。 何人かの警官達は俺の家にゾロゾロ入って行った。 俺も側の警官に促され、部屋に入った。 警官達は部屋を捜索し始めた。 「汚いっしょ。」 俺は笑って言った。 「みんなこんなもんだよ。」 警官も苦笑して言った。 警官達はしばらく捜索した後、部屋から撤収して行った。 俺は鍵を閉めた。 「じゃあ行くぞ。」 警官は言った。 「はい。」 俺は答えた。 警官は逮捕状を読んだ。 「山田太郎。逮捕する。」 警官は手錠を出した。 俺は両手を揃えて前に出した。 警官は手錠をし、俺は覆面車に乗り込んだ。 そのまま警察署に連行された。 「持ち物を全部出して下さい。」 警官は言った。 俺は携帯と煙草と財布を出した。 警官は一つ一つメモしていった。 財布に入っている息子の写真も、レシートの内容も、御守りの神社名まで全部メモしていた。 「じゃあ服を脱いで。」 警官は持ち物を全部メモし終わると言った。 「はい。」 俺は服を上下とも脱いでパンツ一丁になった。 警官は俺のトランクスの模様や色までメモに書いた。 「じゃあこれ着て。」 警官はスエットみたいな服を机に置いた。 俺はスエットに着替えた。 「これは長いからあげてるのか。」 警官は俺のズボンの裾の安全ピンを見て言った。 「ああ。」 俺は答えた。 「じゃあ、部屋に行くぞ。」 警官は俺を促し、牢屋に案内した。 三畳の畳の部屋にトイレがあった。 幸い今回は一人だった。 俺が中に入ると、警官は手錠を外した。 そして扉と鍵を閉めて去って行った。 俺はとりあえず、畳の上に座った。 どうせ十日位で出れるだろう…。 しばらくすると、また警官が来た。 「山田。調べ。」 警官は言った。 俺は立ち上がった。
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