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しかしそんな彼女の心など知るよしもない侍の格好をした男たち数人は、険しい顔つきのまま尚も聞いてくる。
「答えぬか!答えようによっては斬るぞ?」
そう言って、腰に差してある刀へと手を伸ばした。そのまま、すらっと抜くと目の前の少女に向かって構えた。
光に反射した刀身がキラリと光った。
それを見た彼女は、スッと目を細めた。
「その刀、本物みたいですね。それにこの感じ。どこぞの映画村って感じじゃないみたいだし」
彼女は制服のスカートについた草を払いながら立ち上がると、男を睨んだ。
「何だその目は。無礼者!刀の錆にしてくれるわ!!」
彼女の態度が気に入らなかった、男は構えていた刀を勢いよく振り下ろした。
周りの野次馬たちが息をのむ中、彼女は一歩横へ跳び退いた。
「人に刀を向けると言うことは、自分にも向けられる覚悟があると言うこと」
彼女は、男と距離を取ると身を低く構えた。
「人を傷つけると言うことは、同じく自分自身も傷つけられる覚悟があると言うこと」
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